電話があった。


しばらく仕事で高校には行けないはずだった。

だけど、いざ仕事に出ようとするとスマホが鳴った。



「なんだ」


『あー、俺。…葉月って柊雅と仲いいの?』


電話は藍音からだった。

俺は低い声で言った。

「なんだと?」


『怒んなよ…。やっぱ違うんだな。…なんかスゲェ仲良さげに話してんぞ』





柊雅…。
あいつ、早速手ぇ出しやがった…。




いつもいつも…俺の邪魔ばかり…っ



葉月だけは譲らない…







俺は何も言わずに電話を切り、マンションを出た。


「えぇ、ちょ、若!!!?」






バイクにまたがった俺を見て、焦って駆け寄ってくる圭斗。

「車じゃ手遅れなる。」



「葉月様に何かあったんです?」



「柊雅が動いてる」







「…お気を付けて」








圭斗がバイクの前から退き、俺はバイクを走らせた。


間に合え。


あいつが何か、余計なことをする前に。



法廷速度は裕に超していたが、気にせず走らせた。