そこで2人と別れ、私は産婦人科へ向かった。


「あれ、下條さん?」





「あ、徳孝先生…。あの、今お時間ありますか?」




「あぁ。あるよ。こっちで話そう」





使われていない診察室のような所。

私と徳孝先生はそこに入った。



「丁度、鬼頭(キトウ)先生と君の話をしてた。」






心臓外科の私の担当医。


「心臓病…だったんだな」




「えぇ…。あ、いろいろ調べたんです…それで…。」


「不安になった?」






徳孝先生の言葉に頷いた。


「どう調べてどのページを見たのか知らないけど、大丈夫。心臓病の妊婦でもちゃんと、出産も子育ても出来る。俺達がしっかりサポートする。…後日、しっかり説明しないとだね」





私は、ありがとうございます、と頭を下げた。


「あぁ、それから…。まだ心拍が確認出来ている訳では無いから、知り合いにはまだ伝えない方がいい。」




「はい、分かっています。」




「あ、それで?話があったんだろう?」








「私、産みます。なので、これからよろしくお願いします」






私の言葉に、にっと笑って1度だけ手を、パン!と叩いてから、椅子から腰を上げた。




「君はいい意味で期待を裏切らないよ。よし、こちらこそ、よろしくお願いします」