「うっ!」

「はっ、葉月ちゃん?」




急な吐き気に襲われて、何も口にしていなかった私は、床に胃液を吐いた。


「うっ、…ゲホッゲホッ…っ」



「あらあら、大変っ」


冬乃さんは、綺麗な着物が汚れるのもいとわず、私を支えてベッドまで運んでくれた。





「お熱と嘔吐…病院に行ったほうが…」




「あの、大丈夫です…優雅や冬乃さんに迷惑かけたくないので…。それに、少しすれば楽になります」



「もしかして…前から体調悪かったの…?!」





吐いたのは今日が初めてだけれど。



「はい…。でも、横になれば楽になれていたので」

「優雅は?知ってるの?」

「毎日朝早いし、夜も遅くに帰ってくるし…。疲れてる上に、めんどくさいこと気負わせたくないなって…」