「あー。気持ちいい。」


そう言いながら寝転がる璃空。


「制服汚れるよー?」


そんな璃空を見ながらあたしは溜め息をつきながら言った。


「別にいいんだよ…。今回の試合勝たないとな…。」


寝転がったまま目を閉じて言う璃空。
きっと、璃空は今回の試合の対戦相手を知ってるのだろう。8人で走るうちの1人は西沢 陸がいるって事に。


「西沢 陸でしょ?」


あたしは躊躇いもせずに言った。


横目で璃空を見てみると相変わらず目を閉じたままだった。幼なじみとは言え、相変わらず掴みにくい奴……。


「まあ、頑張れば?」


あたしはそうとしか言えなかった。陸上を挫折した人間に励まされても璃空の性格上ウザイと思われるのが落ちだろう。


「結花ってさ、陸上辞めた理由何なの?」


いきなり起き上がり聞いてきた璃空。


あたしが陸上を辞めた理由?今まで聞かれたことのない質問にあたしは驚いた。


「挫折したんだよね。」


陸上を辞めたのは挫折したからも理由にあるけど他にもいろいろある。
膝が故障している。もう治ってるはずなのに、本気で走るのが怖くてあたしは陸上を辞めた。


ただ、膝が故障しているのを知ってるのはあたしと両親だけ。あたしはみんなにあえて何も言わなかった。