「カギ…タ…ギ…」

誰かの声が聞こえる…。

この声、知ってる…。

「タカギ…」

私を呼んでいる…。

起きなくちゃ…。

「ん…。」

体を起こし、目をこする。

「タカギ…起きた?」

「うん。サクマ、どうかした?」

サクマはタカギの手を強く握った。

「あのね、子犬を拾ったんだ。だから…飼っていい?」

タカギは目を丸くした。

「子犬を…?どこで拾ったの?」

「公園の所で。ダンボール箱の中に入ってたの。箱に『拾ってください』って書いてある紙が貼ってあったんだ。」

「・・・そう。いいよ、飼おうか。」

「やったぁ!」

「子犬は?どこ?」

タカギが問うとサクマは苦笑した。

「…?サクマ?」

「実は…その…」

「わんわんっ!」

すぐ近くで子犬の鳴き声がした。

「お家に連れてきちゃった…」

「かわいいね。」

タカギは子犬の頭を撫でた。

「真っ白でまるで天使のようだ。」

「でしょでしょ!」

「サクマ、子犬になんて名前つけようか?」

「そうだな…。『イシカワ』なんてどうだい?」

「イシカワ、うん。いい名前だ。よろしくね、イシカワ。」

「わんっ!」