歪な二人を結ぶ嘘




ただ言われた通りに淡々と仕事をこなして、言われたように生きていく。



組織に拾われた時から、私の生き方は決まっていた。



いつもの帰り道を歩く。



一人になると、どうしてもおセンチな気分になる。



考えないようにしていても考えてしまう。



自分のこれからのこと。



きっと私はこれからも変わらず今のような生活を送っていくのだろう。



死んでいるように生きていく。



明るい自分を装って、本当の自分を隠して。



段々分からなくなっていくんだ。本当の自分が。



名(馬鹿!前)



珍しく焦ったような名無しの声で、我に返って前を見る。



歩行者信号は赤く光っていた。