赤メッシュのヤンキー少女が、フツウに恋をしてしまったら…



「ほら、一緒に帰ろ」
「やだ、一緒に探してよ!」

ハルはため息をついて、そんなわたしの腕を掴み、強引に家に帰らせた。


結局髪ゴムは見つからなくて、後で母親に買い直してもらった。
けど、いつも気弱でわたしの命令ばっか聞いていたハルが、わたしの腕を引っ張った。あの時の腕の感触が、今になっても覚えていた。



「咲、着いたぞ。」



甘酸っぱい思い出に浸っている間にハルの行きたい場所(デート場所?)に着いた。

ん…?


あれ、ここって…


「噂になってるパンケーキ屋じゃん!!」


最近学校付近にできたパンケーキ屋で、女子がこぞってその店のパンケーキをSNSにあげていた。
わたしもいつか行きたいと思っていた所だった。


「ハル、奢ってくれんの?
え、めっちゃ嬉しい、ありがと!」
「いや、そうじゃなくてさ…」


ガランガラン
と、店のドアが開いた。