「咲、お願い!
来週フラペチーノ奢るからさ!」


梨子にそう言われたのは、学校が終わり帰ろうとした時であった。

「今日は彼氏と映画行くの!
しかも初デート!遅刻するなんてできないでしょ?
だから今日の掃除代わって?」

梨子が上目遣いで見る
バサバサのまつ毛がいっそう上を向いている。


「いいけど…」
「やったー!咲だーいすき」


本当は思ってないくせに
梨子もそう思う自分も嫌いになる

「じゃあ、飛鳥待っといて〜」
「え、わたし帰るけど?」

飛鳥はあっけらかんと言ってばいばーいと梨子と一緒に去っていった。

「梨子の掃除場所は…」

掃除当番表を見に行く
げ、昇降口じゃん

「しかも…晴と2人かよ…」

わたしはため息をついた。