『東雲さん、どーぞ。』

いつものように俺は患者を呼ぶ。

入ってきた瞬間、目が離せなくなった。
綺麗な黒髪を一つに束ねて、熱があるのか潤んだ瞳で俺を見ていた。
なんなんだ?この胸の高鳴りは...
いかん。ちゃんと診察しないとな...

『こんにちは。今日はどうしたのかな?』


『一週間前から喉が痛くて...』

胸の音を聞くため、服の裾を捲りあげると...
胸の高鳴りは最高潮を迎えた

何を考えてるんだ?おれ。
どうかしてる。

落ち着けよ。

冷静を装って診察を続ける。

喉腫れてるな...
悪化したら厄介だな

17歳...高校生か?

『喉に白体と言って細菌によって感染が起きている急性扁桃炎という症状です。2、3日安静にしていて下さい。学校はお休みしてください。』

『あ...あの、高校生じゃないです。』