放課後の図書館のカウンターで貸し出しカードの整理をしている私の前で紗智がぷうっと頬を膨らませている。

不機嫌の理由は手にしているプリントにあるらしい。

「ゆずちゃんは夏休みの進学合宿いく??」

「ううん。」

「そうなの??
うちのクラス他に誰も参加しないから独りぼっちで嫌だなぁ・・・。」

「紗智、進学に決めたの?」

「ううん。
少しでも迷ってるなら参加した方がいいって伊藤が言うから。」

「古賀君は?
進学希望なら行くんじゃない?」

「行かないって言ってた。」

「ゆずちゃんも迷ってるなら行こうよ~。」

進学か就職か迷ってはいる。

母親は就職することを快く思っていない。

だが求める進学のレベルは姉と同じもので私には到底届くとは思えない。

一つのきっかけになるかもしれない。

「私も行こうかな。」

和田先生に話して申し込みの用紙を貰いに行こう。

「良かった~。」

話に区切りが付いて、私は職員室に向かった。