私はすうっと大きく息を吐いた。

「私、伊藤先生に信じたいって言ったんだ。」

「信じたい?」

「自信を持つにはどうすればいいかっていう話になって、伊藤先生が誰かを心から信じることだっていうから・・・私は伊藤先生を信じたいって言ったの。」

「それって告白だよね。」

「やっぱりそう、だよね。」

「それで?
伊藤はなんて言ったの?」

「途中で澤村先生が入って来たから返事は聞けてなくて。
でも、多分、失恋したんだと思う。
それで・・・色々あって。」

「色々じゃ解んない。
紗智、誰にも言わないよ!!
だからちゃんと話して。」

紗智の強い言葉に私は今までのことを全て話そうと思った。

「紗智は小西・・・君は知ってる?」

「うん。
哲君と同じクラスだよね。」

私はアイツとの事を紗智に話した。

「ゆずちゃん辛かったね、痛かったね・・・。」

紗智はボロボロと涙を流してくれた。

「それで、古賀君は付き合おうって言ってくれて。」

「でも・・・私は伊藤先生の事が好きだから断ったの。
そしたら嘘の恋人として付き合おうって。
アイツを近づかせないために。」

「そうだったんだ。」

「人の気持ちってままならないよね。」

紗智は過去を振り返るように言った。

「でもねっ。
きっとゆずちゃんも幸せになれるから!!」


「ありがとう。」

「五限目、サボっちゃったね。
・・・でもゆずちゃんとちゃんと友達になれたから良かった。」

紗智はそう言ってにっこり笑った。