「やっぱり付き合わないか。
嘘の恋人として。」

「嘘の恋人?」

「嘘でも彼氏が居た方が小西も近づきにくいだろ?』」

「でも、皆に誤解されちゃうよ。」

「俺は役得ってやつだから。」

「・・・卒業まで言うつもりはないんだろ?」

私の好きな人が誰なのか古賀君は気づいてる。

「・・・よろしくお願いします。」

「いいのか?」

「うん。」

「本物の恋人ならもっと嬉しかったんだけどな。」

そう言って、照れた様子の古賀君は私の手をそっと掴んだ。

「朝、一緒に学校いかないか。」

「・・・え?」

「嘘でもアイツまで知れ渡らなきゃ意味ないだろ。」

「そうだね。」

「それと・・・柚依って呼んでも良いか?」

「・・・恥ずかしいよ。」

耳慣れない呼び方がくすぐったかった。

「俺も恥ずかしい。」

二人で顔を見合わせて笑った。