最初で最後の恋だから。ーセンセイー

数学準備室についてノックをしたけど返事はない。

(いらっしゃらないのかな)

「須藤?」

私が顔をあげると伊藤先生がこちらに歩いてくる。

「どうしたんだ?」

「松永先生に質問があって。」

「どこが解らないんだ。」

「・・・。」

全部解らないなんて恥ずかしくて言えなかった。

「テスト範囲は?」

私が答えると、先生は一つ一つ丁寧に教えてくれる。

「国語の先生なのにすごい。」

「このくらいはな。
まだ解らないところがあったら国語科準備室にいるから。」

「いいんですか?」

「構わない。
その代わり誰にも言うなよ、仕事が増えるから。」

(先生が笑った)

先生が笑顔が私を照らす。

いつまでも見ていたい、そう思った。