ピュウ。

口笛の様な音がした。

開いたままのドアにもたれていたのは小西勇気、アイツだった。

「俺のおもちゃに手を出すなって言ったよな?」

「来いよ、遊ぼうぜ。」

「須藤に手を出すな。」

アイツは古賀君にいきなり殴りかかった。

嫌な音が何度も耳に届いた。

「やめてぇっ・・・行くから。」

「行くから、じゃないだろ?」

「・・・行きますっ。
だからやめて下さい。」

私はその場に膝を付き土下座した。

「須藤、やめろっ。」

「最初からそう言えばこんな事にはならなかったんだぜ?
俺は平和主義者なんだからなぁ。」

ついて行った先は体育倉庫だった。

「束の間の平和は楽しかったか?」

言葉と共にバスケットボールが飛んで来た。

アイツは足を狙って次々に投げてくる。

避けきれなくて転んでしまう。

「お前は俺のおもちゃなんだぜ?
忘れて貰っちゃ困る。」

冷たい目に射抜かれて私は畏縮してしまう。

アイツは蛇だ。

獲物を食べ尽くすまで満足しない。