実は人じゃないんです

「・・・ヒナタ」

「アオイ。今日は早いんだね」


フフフと笑うヒナタ
やわらかい笑顔に悩みなんて忘れてしまいそうだ

「・・・まだ、死にたい?」

笑顔を崩さぬままそういうヒナタに俺は何を言ったらいいのかわからない
ただ首を横に振るだけ

静かに太陽が上がり俺たちを照らした

「死にたいって言えることは素晴らしく幸せなことなんだよ」

ヒナタは軽くステップを踏むように跳んで踊る
白いワンピ-スが円を描いて広がる



「あなたが死にたいといった今日は昨日死んだ人が生きたいと思った明日なの」



「だから」ヒナタはそういいながらゆっくりと足を止めて俺の前に立った




「生きてね」






太陽に照らされたヒナタの笑顔はまるでこの世のものじゃないくらいに
美しく輝いて見えた