実は人じゃないんです

「お、おい!」
後ろから聞こえる先生の声を無視しながら俺は走った
とにかく、カバンを持って学校から出よう
自転車に乗ってどこか遠くに

(暑い)

もうすぐ5月になる


あんなに寒かったのに
いつの間にか太陽は暖かく寒さなんて全く感じなくなった




走った



暑い



わかりきったことだけど
進んでいく時間に恐怖を覚えた


がらりと大きく教室のドアを開ける


「おー、葵。先生なんて?」

「特に変なことは言われなかったよ」

駆け寄ってくる守羅

「にしてもさっきのプレイすごかったよな」

嬉しそうにすりよって来る
今は構っていられない

「俺、体調悪いから早退するわ。次の授業で聞かれたらそう答えといて」

そういいながら俺は机の中をあさり適当に鞄に詰め込む
適当に入れたからかいつもよりかさばってしまった

「は?!」

「悪い」

驚く守羅にそれだけ言って俺は教室を出た
教室の中からは「次もおんなじチームになってくれることを条件で手を打つっ!!」と元気な叫び声が聞こえた。