****

 祐介が言っていたあまりよくない話と、リョウの思いつめた顔に、真二は嫌な胸騒ぎが消えない。


 あゆみの件が落ち着き今すぐにでも、愛輝に会いたいのだが、なんだか嫌な予感がしてならない……


 それでも、愛輝に一目会いたいと、愛輝の通う大学の側まで来ていた。


 しかし、車の窓から真二が目にしたのは、知らない男と親しげに話す愛輝の姿だ…… 

 勿論、愛輝を信じていない訳では無いが、なんとも言えない腹立ちがこみ上げる……
 

 車から降り、すぐに愛輝の手を掴もうと思った時だ…… 

 スマホの着信音が鳴った。


「もしもし」


 少し苛立ちながらスマホを耳に当てる。



『真二、すぐ事務所に来い。リョウが大変な事に……』


 隆のめったにない焦った声に、嫌な予感が的中したと顏を顰めた。


「何があった?」

 真二の声が険しくなる。



 スマホを切り、愛輝の方へ目をやった。

 体育会系の爽やかな男に、愛輝が笑みを向けたが……


 今、声を掛ける事は、愛輝を巻き込む事のような予感がして、真二は悔しい思いで車を走らせた。

 事務所に入ると、社長とマネージャーの前で下を向くリョウの姿があった。


 目の前に置かれた週刊誌には、リョウが怪しげな男に金を渡す写真が載っていた。


「いったいこれは……」

 真二の潰れそうな声が重々しく響く。


「すまない……」

 リョウが顔を覆った。



「どういう事なのか話してくれ……」


 真二の言葉にリョウがゆっくりと重い口を開いた。