嘘は輝(ひかり)への道しるべ

 雨も上がり、カーテンの隙間から朝の光がこぼれている。

 愛輝が目を開けると、祐介の姿が目入った。


「目が覚めたようだな…… 何か飲むか?」

 祐介の言葉に愛輝は肯いた。

 祐介がテーブルの上に用意されていたオレンジジュースをグラスに注いいだ。

 愛輝はベットから起き上がると、ジュースを受け取とり一気に飲み干した。


「ありがとう。ずっと居てくれたの?」

 愛輝が、祐介を申し訳なさそうに見た。


「いいや。おじさんが一晩中ここに居たよ。朝一で大事な会議があるとかで、さっき出て行った」


「そう、パパが…… あっ、私も仕事!」

 愛輝がベットから出ようとすると、祐介が愛輝の額に手を当てた。


「まだ熱があるじゃないか…… 今日の仕事は断ったよ。ここの所忙しくて疲れが出たんだろう? 今日はゆっくり休め……」


「うん…… ごめんなさい……」



「心配するな。ばあやに、何か食べる物を持って来てもらうよ……」

 祐介は空いたグラスをお盆に乗せ、部屋のドアへと向かった。


「ありがとう。兄さん……」

 愛輝の言葉に祐介の足が止まった。


「『兄さん』て、呼んでもいい?」

 愛輝が小さな声で、不安そうに聞いた。


「ああ」

 祐介は振り向かなかった。


「私はこの家で暮らせて幸せだったわ。兄さんも幸せだった?」


「まあな…… あのおやじだぞ! 楽しく無いわけないだろう?」

 祐介の言葉に、愛輝は正人の顔を思い出し笑った。


「ゆっくり休みな……」

 祐介は優しく言葉を残し、部屋を出て行った。


 
 午後四時を回った。

 愛輝は熱は下がったようで、頭もすっきりしてきた。

 部屋のドアがノックされ、ばあやが入ってきた。


「お嬢様、美香さんと木崎さんとおっしゃる方がお見えですが、お通ししてよろしいですか?」


「ええ―。ちょっと着替えるから待ってもらって!」

 愛輝の顔が真っ赤になり慌ててベッドから跳ね起きた。


「やっほ―! 熱はどう?」

 美香が突然部屋に入って来た。


 美香の後ろから真二も顔を出した。