病院の診察室で、真二とのどか、のどかの両親が医師から検査の結果を聞いていた。
「のどかさん、検査よく頑張りましたね。検査の結果をアメリカに送って確認してもらいました。その結果、手術が出来るという事です」
白衣に身を包んだ、ガタイの良い中年の男性医師が、優しい笑顔で告げた。
「ほんとに?」
のどかが両手を合わせ、もう一度確認するように医師を見た。
「はい。ただ、手術は医師の来日の都合で、今年の秋の予定になります。早ければ、来年の春には歩けるようになりますよ」
「夢みたい……」
のどかの目には涙が滲んでいる。
「ありがとうございます」
のどかの父が、声を詰まらせてお礼を言っている横で、母が泣きながら頭を下げていた。
真二の目にも熱い涙がこみ上げてきた。
医師からの詳しい説明に両親を残し、真二とのどかは病室へ向かった。
「ねえ、お兄ちゃん。愛輝さんに手術の事知らせなきゃ。最近来ないんだけど… メールしても忙しいって返事ばっかりで…… お兄ちゃん何か知っている?」
のどかが寂しそうに聞いた。
「いや、別に… のどかも手術があるし、もうあの人の事は忘れた方がいい」
真二が冷たく言い放った。
「何よ、それ! あの人とか忘れろ、ってどういう事よ。お兄ちゃん愛輝さんと何かあったの?」
さすがにのどかも、真二の言葉に食ってかかった。
「別に何もないって言っているだろ! お前には関係ない事だ!」
真二はつい口調がきつくなってしまい、マズイとは思ったが……
「何よ! お兄ちゃんだって愛輝さんの事気になっているくせに。いつもその窓から、愛輝さんの座っていたベンチ見ているじゃない!」
「……。」
真二は、押し隠している自分の気持ちを掴まれた気がして言葉がすぐに出なかった。
「愛輝さんに会っちゃいけないって言うなら、私手術受けない!」
『パッシーン!』
真二の手がのどかの頬を叩いた。
「我まま言うんじゃない。父さんと母さんの気持ち考えろ」
真二は冷静に言うと、病室を出て行こうとした。
「明日、愛輝さんのお父さん退院だって…… 愛輝さん来るって言っていた。明日、お兄ちゃん来なかったたら、二度と愛輝さんに会えないかもしれないからね! 後で後悔したって知らないから! お兄ちゃんのバカ!」
のどかはベッドの上で布団にもぐって泣き出した。
真二は何も言わず病室を出ると、深いため息をもらした。
病室に向かい歩いてきた父親が真二に気付くと、談話室を指さした。
二人は紙カップのコーヒーを手にし、長椅子に並んで座った。
「のどかの手術の事だが…」
「親父、費用の事は気にしなくていい。なんとかなりそうだ」
「しかし、お前このままでいいのか?」
父親が向かいの病室のテレビから流れている、音楽番組で川島リョウが歌っている姿に目をやった。
「ああ……」
真二はうなずいた。
「すまない… 私も頑張るから」
「大丈夫だ。俺は忙しくなるから、なるべくのどかと一緒に居てやってくれ」真
二は手にしたコーヒーを飲み干し、立ち上がった。
真二はのどかの言葉に、胸を締め付けられる思いだった。
愛輝に思わず酷い事を言ってしまった事に後悔していた……
真二は、愛輝がヒカリだと分かった瞬間、全てが嘘のように思えて苛立ったのだ。
自分でも情けない事くらい分かっている。
一瞬、何か嘘で、何が本当なのか分からず動揺してしまったのだ。
それほど、愛輝の存在が大きくなっていた。
しかし、愛輝も真二も背負っている物が大きすぎる。
真二が愛輝に近付く事で、愛輝に不安を与え、傷つけてしまう気がする。
このままの方が愛輝にとっていい気がした。
苦しい思いを胸に真二は、照明の落ちた暗い病院を後にした。
「のどかさん、検査よく頑張りましたね。検査の結果をアメリカに送って確認してもらいました。その結果、手術が出来るという事です」
白衣に身を包んだ、ガタイの良い中年の男性医師が、優しい笑顔で告げた。
「ほんとに?」
のどかが両手を合わせ、もう一度確認するように医師を見た。
「はい。ただ、手術は医師の来日の都合で、今年の秋の予定になります。早ければ、来年の春には歩けるようになりますよ」
「夢みたい……」
のどかの目には涙が滲んでいる。
「ありがとうございます」
のどかの父が、声を詰まらせてお礼を言っている横で、母が泣きながら頭を下げていた。
真二の目にも熱い涙がこみ上げてきた。
医師からの詳しい説明に両親を残し、真二とのどかは病室へ向かった。
「ねえ、お兄ちゃん。愛輝さんに手術の事知らせなきゃ。最近来ないんだけど… メールしても忙しいって返事ばっかりで…… お兄ちゃん何か知っている?」
のどかが寂しそうに聞いた。
「いや、別に… のどかも手術があるし、もうあの人の事は忘れた方がいい」
真二が冷たく言い放った。
「何よ、それ! あの人とか忘れろ、ってどういう事よ。お兄ちゃん愛輝さんと何かあったの?」
さすがにのどかも、真二の言葉に食ってかかった。
「別に何もないって言っているだろ! お前には関係ない事だ!」
真二はつい口調がきつくなってしまい、マズイとは思ったが……
「何よ! お兄ちゃんだって愛輝さんの事気になっているくせに。いつもその窓から、愛輝さんの座っていたベンチ見ているじゃない!」
「……。」
真二は、押し隠している自分の気持ちを掴まれた気がして言葉がすぐに出なかった。
「愛輝さんに会っちゃいけないって言うなら、私手術受けない!」
『パッシーン!』
真二の手がのどかの頬を叩いた。
「我まま言うんじゃない。父さんと母さんの気持ち考えろ」
真二は冷静に言うと、病室を出て行こうとした。
「明日、愛輝さんのお父さん退院だって…… 愛輝さん来るって言っていた。明日、お兄ちゃん来なかったたら、二度と愛輝さんに会えないかもしれないからね! 後で後悔したって知らないから! お兄ちゃんのバカ!」
のどかはベッドの上で布団にもぐって泣き出した。
真二は何も言わず病室を出ると、深いため息をもらした。
病室に向かい歩いてきた父親が真二に気付くと、談話室を指さした。
二人は紙カップのコーヒーを手にし、長椅子に並んで座った。
「のどかの手術の事だが…」
「親父、費用の事は気にしなくていい。なんとかなりそうだ」
「しかし、お前このままでいいのか?」
父親が向かいの病室のテレビから流れている、音楽番組で川島リョウが歌っている姿に目をやった。
「ああ……」
真二はうなずいた。
「すまない… 私も頑張るから」
「大丈夫だ。俺は忙しくなるから、なるべくのどかと一緒に居てやってくれ」真
二は手にしたコーヒーを飲み干し、立ち上がった。
真二はのどかの言葉に、胸を締め付けられる思いだった。
愛輝に思わず酷い事を言ってしまった事に後悔していた……
真二は、愛輝がヒカリだと分かった瞬間、全てが嘘のように思えて苛立ったのだ。
自分でも情けない事くらい分かっている。
一瞬、何か嘘で、何が本当なのか分からず動揺してしまったのだ。
それほど、愛輝の存在が大きくなっていた。
しかし、愛輝も真二も背負っている物が大きすぎる。
真二が愛輝に近付く事で、愛輝に不安を与え、傷つけてしまう気がする。
このままの方が愛輝にとっていい気がした。
苦しい思いを胸に真二は、照明の落ちた暗い病院を後にした。


