嘘は輝(ひかり)への道しるべ

 愛輝のメールの受信に、のどかから何度も、「次は何時来るのか?」と送られて来ていたが、卒業式や大学入学の準備で忙しいと、はぐらかしていた。

 拓真の見舞いも、仕事の忙しさを理由にばあやに頼んだ。


 今のこの波にヒカリの写真集の発売をしようと、撮影が追い上げられ慌ただしく時が流れている。

 愛輝は控室でメイクをしてヒカリに変わり、美香と共にスタジに向かった。

 廊下の向こうから歩いて来る人影は川島リョウだ。
 愛輝はリョウの後ろに歩く、バンドのメンバーの中に真二の姿を見つけた。


「ヒカリさん、お久しぶりです。お蔭様で新曲の売り上げ今までで最高でした。何度かヒカリさんに打ち上げのお誘いしたんですけど、事務所に断られちゃって。お礼も出来なくてすみません」

 リョウが頭を下げた。

「お礼だなんて… 私の方がお礼を言わなくては… お陰で写真集も発売出来る事になって、仕事も忙しくなってきました… 本当にいい経験させて頂きました」

 ヒカリも頭を下げる。


「今度、正式に僕のミュージックビデオの、専属モデルをお願いしようかと思っています。他のアーティストと共演されちゃうと困るなあって…… ダメですかね?」

 リョウが真剣な表情で話出した。


「その件については、社長と詳しい話をお願いします」

 美香が素早く間に割って入り答えた。


「それじゃあ、また」

 リョウは手を上げて歩き出した。


「また」


 愛輝も頭を下げ、バンドのメンバーの方を見た。

 メンバーはニコニコとヒカリに挨拶したが、真二はヒカリの方を見なかった。

 ヒカリは、メンバーに向かって、いや真二に聞こえるように……


「素敵な曲を、ありがとうございました」

 と頭を下げ、スタジオに向かって歩きだした。


 ヒカリの後ろ姿を、真二がじっと見つめていた事など、愛輝は知らずに足音を鳴らした。