嘘は輝(ひかり)への道しるべ

 ヒカリは一瞬ただの偶然なのか? と思ったのだが、流れてくる歌詞は、真二の持っていた楽譜に書いてあった物と同じだった。

 切ない涙が込み上げるこの歌詞は、真二が書いていた物に間違い無い。


 ヒカリは自分でも気付かぬうちに、真二の方に目を向けてしまっていた。


 曲が終わると、「凄―い、良い曲ですね」とあちらこちらから歓声が上がった。

 しかし、ヒカリの頭の中は真っ白だ……


 ヒカリは美香に「ちょっと外の空気吸って来る」と伝えスタジオの外へ出た。



 人気のない場所に座り、とにかく気持ちを落ち着かせようと大きく息を吸った。


頭の中が混乱して、何から考えればいいのか分からない……

 歌詞カードの作詞・作曲の欄には、川島リョウの名前が書かれていたが、あの曲は間違いなく真二の曲だ。


 どういう事なんだろう? 

 もしかしたら、今までヒットした曲も、『嘘』も真二が書いた曲なのか? 

 頭も胸の中も真二の事でいっぱいになってしまった。

 だが、今は仕事に集中しなければならない…… 


 ヒカリは、頭の中の混乱を断ち切るように立ち上がった。



 しかし……


 立ち上がったヒカリの前に真二が現れた……