嘘は輝(ひかり)への道しるべ

 一時五分前、愛輝は舞浜駅にいた。

 興奮して夕べは眠れず、何度も鏡の前で洋服を着替えた。

 鏡に映る自分に、もしヒカリになって真二の前に行けたら、愛輝を好きになってくれるのだろうか? 
 ヒカリを好きになったとしても、愛輝の事も好きになるだろうか? 
 ヒカリも愛輝も自分なのに… 

 でも、真二は愛輝を誘ってくれたのだからと自分に言い聞かせた。 

 愛輝は鏡を見つめ、最近買ったお気に入りの白いコートを羽織った。


「愛輝さん!」

 のどかが大きく手を振り、真二に車いすを押されて近づいてきた。


「のどかちゃん! テストはどうだった?」

 愛輝はのどかに近寄ると、気になっていたテストの結果を心配で聞いてしまった。


「数学は愛輝さんに教えてもらった所が出たからばっちり。英語もかなり自信あるな」

 のどかの得意げな顔に、愛輝はほっと胸を撫で下ろした。


「凄いじゃない! 一生懸命やったものね」

 愛輝は、のどかに思いっきり笑顔を向けた。


「愛輝さんのお蔭よ」

 のどかも嬉しそうに愛輝に笑顔を向けた。

 二人の笑顔を、真二が車椅子を手に、黙って見ていた。


「私は手伝っただけ。さあ、ご褒美よ! 今日は、思い切り遊ぼう!」

 愛輝は、軽く頭を下げ、真二から車椅子の持ち手を譲ってもらうと、のどかと共に入り口ゲートへと向かった。

 何か言葉をかければいいものを、愛輝はあいさつすら真二とまともに出来ずにいた。


 愛輝とのどかが笑いながら、楽しそうに過ごす様子を真二がやれやれと言った表情で後に付いてきた。

 しかし、その目は優しく二人を見守っていた。

 いや、愛輝を見ていた……


 ゲートを抜けると、愛輝ものどかも歓声を上げた。

 パンフレットを広げ目的のアトラクションへと向かった。

 愛輝はのどかとはしゃぎながらも、後ろに居る真二が気になって仕方無かった。


 しかし、素直に言葉を掛ける事も出来ず、のどかを挟んで過ごしていた。


 時々、ちらっと見る真二は、サングラスをかけ、何処を見ているのか分からい……


 愛輝にとって夢のように楽しくてたまらない時間を、真二はどんな思いで過ごしているのだろうか?


 少しは、楽しいと感じていてくれたらいいのにと思ってしまう……