ズタズタにして壊してしまいたかった。
なのに、
それなのに…。
「…っう…っ」
嗚咽が溢れ、振り上げた手をそっと元に戻した。
この絵を傷付けたところで、何も変わらない。
なっちゃんの気持ちも、アイツとの関係も
この忌々しい見た目も
なっちゃんへの、僕のどうしようもない気持ちも
弱い自分自身も
なにも、変わらない。
「…そんなの、わかってるよぉ…っ」
それでもずっと、苦しかった。
大好きな人に、なにも伝えられない。
自分が弱くて、ずるくて、ちっぽけで。
嫌で嫌でたまらなかった。
「なっちゃん…」
大好きな、なっちゃん。
細くて、柔らかくて
女の子の匂いがして
まっすぐで
強くて
正しくて
綺麗で。
あの絵を描いたアイツのことが
大好きな、女の子。
なっちゃん。
僕の、好きな人。

