小鳥が囁き、太陽が煌く午前8時30分。

大きく白い綺麗な校舎は太陽の光を照り返していて、まるで校舎そのものが光っているかのように眩しく、目がチカチカする。

白磁の校舎に吸い込まれていくように入っていくのは、この学校の生徒達。

皆して「ごきげんよう」と現代とは思えないような言葉使いで話し、学生とは思えないほどに洗練された歩き方で校舎に入って行く。


_______この学校はただの学校ではない。


世界でも有数のお嬢様育成機関と言われている【私立神楽坂学園】

学校側が規定した財力、権力、家柄などを満たしていなければその学園の敷地すら踏み入れることも許されず、たとえ在校生であろうと在学中に家が没落すれば即退学というありえない掟まである。



そこの在校生である私は華真紀 舞(Hanamaki Mai)という女子生徒の1人である。

江戸時代から続く有名な華族の1つである華真紀家は、代々国政や経済の分野などで活躍する人々を輩出している名家である。
当主である厳格な父と、政治家として国を支えている年の離れた兄、経済学者として国立大学の名誉教授を務める姉、病弱な母が私の家族だ。
他にも分家などの血縁者もいるのだが、そこは割愛しよう。


まぁ、ともかくそういう世間一般で言う『お金持ち』な家に生まれたわけだ。