二人で夜の街を手を絡め繋ぐ。
端から見れば恋人に見えるのだろうか?

若ちゃんはかなり上機嫌で ずっと私に話掛けて 私は何だか心だけ 別の場所に置きざりみたいに 空返事ばかりしていた。

「亜湖 ここでいい?」

空返事ばかりしていたばかりに、いつの間にか
「うん、」

と返事をしていたらしく
気付けばホテルの部屋に入ってた

「亜湖 こっちに来て」
ギュウギュウ強く抱きしめてくる若ちゃん

心は風が吹いている私と彼の気持ちには、かなりの温度差があり、私はやっぱりいつもの私ではなかった。

「一緒にお風呂に入ろ」
ハッとした時には すっかり服も脱がされ裸の私が 若ちゃんに連れられ バスルームにいる

やだ…恥ずかしい。
「亜湖、全部俺がしたいから、じっとしてて。」

頭から足の爪先まで、若ちゃんが洗ってくれる。私も若ちゃんの頭を洗ってあげてたら、イタズラをされて、少し逆上せた。

慌てて ベッドに運び パタパタと扇いだり、水を口移しで飲ませる 若ちゃん。

何か、見てたら涙が出ちゃってた。

「亜湖、辛い?ごめんな。調子に乗った俺が悪い…あんまりにも幸せで…」

心の中で、風が止まった気がした。

私、どうしてこんなに優しい人を避けたのか?この涙は一体どういう涙?

今は何も考えなたくない…

都合の悪い事は心にも蓋をして 二人きりの時間を 甘く濃く過ごした。


砂時計の様に 心がいつの間にか消えて なくなる事に気付きもしないで…