「バンッ!」


大きな音をたてて、気づけばノアに押し倒されていた。


「のっ、ノア?」


ノアの黒い目に睨まれ、腕を捕まれた私は身動きがとれず、ノアからは黒いオーラーが出ていた。


「あぁ、ソフィーか」

「え?何が?」



ノアははっとして、すぐに私の腕を離した。

「いや、寝込み襲ってくる敵かと思った」
「私が?!ノアの寝込みは襲わないよ・・・?というか敵って」


「ったく、起きるの遅すぎだろう」

「ノアが早すぎるんでしょう・・・そもそも、朝の6時に来るなんて考えられないし」


はぁ、と呆れたようにため息をついたノアは首をゴキッと鳴らしながら、再び足を組み直した。

「南から王都まで遠いんだ、夜に出発しなくちゃ朝につけないだろうが」


「それはそうだけど・・・」





「それにすぐに帰る、お前を連れ「私は帰らないよ」

「・・・帰るぞ」

「帰りません!」


声をあげた瞬間、ノアに腕を捕まれてぐいっと引っ張られる。体制を崩し、そのままノアの元に倒れこんでしまった。



「ノア?は、離して・・・ノアも、19歳でしょ。小さな子供じゃないんだから」


「・・・俺の所に・・・来い」
ぎゅっと抱き締められ額にキスをされた。




「・・・ごめんなさいノア、私は帰らないよ」

「なら、どうして謝るんだ?」



「王宮に行く当日も話せなかったから、心配したでしょう?勝手に決めて勝手に行ってごめんなさい。私もね、ノアの事好きだよ。でも、いくら家の決まりだからって大切な友達のノアの気持ちとか全然聞かなかったから・・・」




(私も友達が勝手に遠くへ行っちゃったら、悲しいし、寂しいし、きっと毎日つまらない、胸に穴が空いちゃう気がする)



そう思いながら、精一杯謝っているとノアは間抜けな声を出した。

「は?」




「え?ノア?」


「・・・お前、俺が何で来たと思ってる?」

「えっと、心配してくれたから連れ戻しに来たのでしょう?友達として」




「お前嘘だろ・・・」


「何が?」


(何か変な事言ったかな、ノアが呆れてる・・・)