(あぁ、どうしよう。さすがに王宮にまで来る事はないと思ってたのに・・・)



慌てて寝間着から服を着替え、ショートの髪をブラシで整える。

ノアは昔からの幼馴染みでもあり、親戚で、よくパーティとか家に招待されたりもした。貴族であるのは本当だし、南だと私が産まれたユーティリア家が一番の権力を持ってると言われてるけど、ノアの産まれのクリスティン家も南の貴族でここ数年でどんどん権力を大きくしている。今ではユーティリア家と並ぶほどとも言われてる。



私が16歳、ノアが15歳の頃までは、ただの友達だった。そう変わり始めたのはノアが、私を好きだ。と言ったあの日から、いつも冷徹なノアの真剣な顔はあれが初めてだったし、あの時は、ドキドキした。





(でも私がノアを好きになる事はなくて、そのまま。だからノアも私の事なんてもう好きじゃないだろう)




でも私が王宮へ行くと決めた日から、口を聞いてくれなくなった。一度王宮へ仕えれば数年は、気に入られれば十年は帰れない事もある。きっとノアは冷徹だけど、心配性だから、以外と寂しがり屋だし、私しか友達もいないから、連れ戻しに来たのだろう。





「ごめんね、ノア。でもね帰らないよ」



ノアが待っているという客室の鍵を握りしめて、自分の部屋を出た。