「え、エイゼンは、私はっ、もう勝手にどこにも行きませんからねっ。もうあんな事はありませんららっ、ですからっ皇子どうか・・・っ!」




言葉を噛むエイデンさんを皇子はじっと見つめていた。


「あ、あの手紙よみましたよ、私はただ母の所に少し帰るだけです、寂しい思いはさせませんからっ。あの時誓ったのを忘れましたか?皇子・・・」



「・・・忘れ・・・てない」


エイゼンさんの服をぎゅっと小さな手で握りしめて、皇子は頷く。


「あの時は勝手に出ていってしまって、すみませんでした。本当に、寂しい想いをさせてしまって・・・、でも、今度は違いますよ。だから、こうしてユーティリア様をお呼びしたんですから・・・」




「そ、ソフィー、本当か・・・?」


ゆっくりこちらを振り向いた皇子に微笑む。


「はい、本当ですよ。皇子が寂しくて夜眠れなかったり、そういう事がないように。私はここに来ましたから」


「な、何いってんだ!泣くかっ、ばーかっ」

頬を真っ赤にして怒りながら、皇子はぎゅっとエイデンさんに抱きついた。


「ちゃんとかえってこい、エイデン」



「・・・勿論です、すぐに戻りますよ」

「ん・・・なら、いい」



確認するように、不安をかきけすように、皇子は何度も確かめて、エイデンさんから離れた。




と、ふと私は思い付いた。



「あ、なら皇子、今夜はエイデンさんと寝たらどうです?ついでにご飯も」


「あぁ、ユーティリア様。それは良いですね」




「なっ、お、おれは一緒には寝ないぞ!」

まんざらでもなさそうな顔で反抗する皇子をいとも簡単に抱き上げた。



「ご一緒に寝ましょうっ、皇子!」

「え、エイデンまでっ、何言い出すんだよーっ!」






「じゃあ、私も今日は失礼しますね。では、皇子っまた明日に!」




私がにこにこと笑いながら皇子に手をふると、皇子は助けろ!言いながらばたばたと暴れていた。