「えっと、あの、これは何でしょうか?」
「剣だろ!」


「それは分かりますが・・・」

渡された玩具の剣を持つと、皇子は向かい合って剣を構えた。





「しょーぶだ!かかってこいっ!」


窓から差し込む光に照らされた皇子はキラキラと目を輝かせて、自信満々の顔で剣を振り上げてきた。



「わ、分かりました・・・」
「よしっ!よーしゃはしないぞ!」



私が頷くと、皇子は思いきり剣を振り上げた。けれど、私もつい反射的に体を反らせて、自分の剣が避けられた事におどついてる皇子の後ろをとる。


「はっ!」

私が皇子の後頭部に玩具の剣を軽く当てると、皇子は思いきりドンッ!と尻餅をついてしまった。




「わっ!!」


「す、すみません!皇子、つい本気で・・・」



尻餅をついてぼーっとする皇子はゆっくりこちらを振り返った。

「うっ・・・あ・・・う」


「あの、皇子お怪我はありませんか?どこかいた「うっ、うわあああああーん!!負けたぁーっ、えーんっ!」




(うっ、耳が・・・鼓膜が・・・)



皇子が尻餅をついたまま泣き叫ぶ、悔しいのかただただ泣いてる。あまりの声の大きさに思わず耳を塞ぐ。