それから美紗と一緒に、大学の近くのその街をうろちょろした。美里ちょこまかうろちょろするのは楽しくて、明るい日々だった。

そのうちに僕は卒業し、美紗は二回生になった。

で、ある日美紗の下宿に行くと、美紗はいなくなっていた。

あれ?

僕には何も言わず。大学は退学し、静岡に帰ったのだそうだ。そんな話を根木から聞いた。根木もまた一回生の誰かから聞いたそうだ。

ぼんやりと僕は公園のブランコに座った。

君がいないこの街は、何だか空っぽで、僕にはもう何の価値もないみたい。

君が好きだと言う気持ちが痛切に胸に刺さって、痛くて仕方ないんだ。

君が消えた世界は、どうやったって明るく微笑まない。そんなこと、いなくなる前から分かっていたのに。