今年は、例年に比べて気温の上昇が早い気がする。

まだ6月だというのに外の気温は30度を超えていた。


「あつい」

公園のベンチに座りふと呟くと、

「言わないで、余計暑く感じる」

隣に座っていた亜子が少し顔をしかめた。


「で? 最近はどうなの」

亜子が前を向いたまま話しかけてくる。
彼氏のことだと気づくのに数秒かかった。

「特には」

当たり障りのないごく普通の日々を送っていた。


「また言われてないでしょうね。
 大丈夫ならいいんだけど」

また、、かあ。

そうだね、と心の中で呟いた。