今日、わたしは結婚します。

「亮介さん、確かに悠一は我儘で俺様で自己中心的でついでにバカだけど」


「おい、誰がバカだ」


「うるさい、黙って。…亮介さん、そんな悠一だから、わたしがそばにいないとダメなんです」


そうハッキリ告げると亮介さんは苦笑いを浮かべた。


「奈々穂さんって男の趣味悪いですよね」


「自分でもそう思います」


「てめぇら、ふざけんなよ」


「ほら、悠一。新郎がそんな怖い形相しちゃダメだって」


悠一の口角に指を当てて無理やり笑顔を作らせる。


「バッ、止めろ奈々穂!」


「ハハハ、あの兄さんにそんなことできる強者は奈々穂さんくらいですよ。じゃあ兄さんにバトンタッチします。ちゃんとエスコートしてくださいよ?」


「うるせぇよ、おまえはとっとと早よ行け!」


亮介さんが控え室から出ていくとき、わたしに向かってウィンクをした。


きっと亮介さんなりのエールなのだろう。