彼女が消えるその瞬間まで

「姫百合も悩みがあるんだな。ため息なんかついてどうしたんだ?」



「何よ〜その言い方。それじゃあまるで、私が悩みなんて全く抱えてないみたいに訊こえるじゃん」



彼女はそっぽを向いた。たぶん、いじける素振りだろう。



…でも、本当のことだ。ちょっとバカそうな彼女は悩みなんてないように見える。




「……んとね、私はただ、学校に行きたくないなー……ってね」




ほぉー俺と考えが全く一緒だ。たしかに、友達と話す以外に学校って楽しいことがない。




「君もたまには行きたくないって思うんだ?」




「えー、それりゃー思うよ。私そんなに学校好きそう?」



「まぁ……」



自分に指を指してびっくりする彼女が面白くて、俺は笑った。



そのときの彼女は、不思議そうにこちらを見ていた。