彼女が消えるその瞬間まで

桜が空を舞う。今日は入学式。


素晴らしい快晴に恵まれ、過ごしやすい小春日和だった。



母さんの隣を歩いて、高校の門を潜る。




「おーい、翼!!!」



声が訊こえた方に振り返って見ると、なんだか懐かしい、でも、誰か分からない人が立っていた。



俺が何も言えずにいると、彼はんーっと唸り、苦笑していた。




「俺のこと忘れたのか、ほら、中2のときお前と仲が良かった、サッカー部の……」



「あー!松っちゃん?」



「ピンポーン。友達忘れんなよ!」