彼女が消えるその瞬間まで

言わなきゃ……でも、言えない。





このままじゃ、姫百合を悲しませる。







「翼くん、私を見て」





「えっ……」














ほんの一瞬の出来事だった。





彼女が俺の顔を自分の方に引き寄せた。





俺は頬を彼女の手に包まれながら、彼女と見つめ合う体制になった。





彼女の瞳は悲しげに揺れていた。






彼女の手が、ゆっくりと俺から離れた。