「ありがとな、俺のために泣いてくれて」



俺は彼女に微笑んで、なかなか泣き止まない彼女の頭を撫でた。




そうすると、彼女はもっと泣いてしまった。



子供のように、声を上げて泣きじゃくった。





あの頃の俺の悔しさまで泣いてくれるぐらいに。






彼女は面会時間ギリギリまで泣いていた。



帰る頃には、目を真っ赤に腫らしていた。






俺も、過去には辛い思いをしたが、まだ将来はある。



生きていく可能性がない彼女の方が、きっと苦しいはずだ。



なら、どうして彼女は泣いてくれた?





彼女の涙の理由は、考えても分からなかった。