彼女が消えるその瞬間まで

「ごめんね、痛かったね。もう少し早く助けに来ればよかった。本当にごめんなさい」




俺にも訊こえるように、姫百合は優しく左耳に言ってくれた。



なんでお前が謝るんだ。




彼女にここまで近づいたのは初めてだが、彼女からは石鹸のいい香りがした。




「よし、立てる?病院行こ」



彼女は俺から身を離し、立ち上がって俺に手を差し出してくれた。



俺はされるがままに彼女の背中を眺めていた。








女に助けられる俺はやっぱりダサいと思う。







でも、彼女…姫百合は本当に強い女だと思った。誰からも愛される理由が分かった。


誰よりも正義感が強く、優しく天真爛漫。



欠点なんてないんじゃないのか。




俺とは出来が全然違う。