彼女が消えるその瞬間まで

「翼……?あっ、もしかして、如月 翼くん!?」



さっきまで松っちゃんと話していた女が俺に気づくなり、叫んでいた。




「覚えてる?私、中2のとき君と同じクラスだった」




真面目そうな顔立ち……たしかこの人は……………




「クラス委員をしていた、山口?」




俺が答えると、彼女はパァッと微笑んだ。



「そうだよ!たくさん数学教えてたもんね!」



「あーそうだったな!懐かしい」




今もそうだが、俺はそうとうバカだ。赤点なんて日常茶飯事だった。


なので、俺はよくこの山口に勉強を教えてもらっていた。