高校生活スタート

入学式して2週間が経った。

クラスに少し慣れてきた頃、小学校からの友達、茜 雅(あかね みやび)が急に「あー!!!」と叫んだ。

ービクッ
(びっくりした…どうしたんだろ。)

「雅、どうしたの?」

「みーどーりー。数学の課題プリントするの忘れたぁ…」

「忘れちゃったの⁉︎鬼神先生に怒られちゃうよ!」

数学の鬼神先生は怒るとすごく怖い。しかも、1回でも課題プリントを鬼神先生に提出しなかったり課題ができてなかったりすると放課後に呼び出しされて数学準備室で長時間説教されるんだ。だから、クラスのみんなは数学の課題だけは忘れた事が一度もなかったんだけど…。
(雅…やっちゃったなー)

「碧!お願い、写させて‼︎」

「仕方ないなー。いいよ!」

「ありがとー!碧!」

一限はじまるけど間に合うかな…。しかも、鬼神先生の数学が…

「後、5分で一限はじまるけど大丈夫?間に合う?」
「大丈夫‼︎間に合わせるから♪」

ー5分後
「できたー‼︎」

チャイムが鳴るというところで写し終わった雅が来た。

「碧本当にありがとう!」

「どういたしまして!」

すると、キーンコーンカーンコーンとタイミングよくチャイムが鳴った。

ガラッと扉が開いて鬼神先生が入ってきたので喋っていたり立っているクラスメートが即座に自分の席に戻っていった。

「課題プリントを集める。前に出しに来いよー!」

プリントを出し終わってから淡々と進んでいく授業。

「これはこの公式を代入すればーこうなる。覚えておくように。」

あぁ、数学が苦手な私にはスッゴイ苦痛だ…。早く終わってほしー

ーキーンコーンカーンコーン…
やっと終わったー‼︎数学ってなんであんなに難しいんだろう。理解できない。

「次、体育だぁー‼︎碧、早く行こー♪」

「雅、冬馬くんに早く会いたいだけでしょ。」

「あはっ…バレた?笑」
「バレバレだから」

冬馬くん。佐賀 冬馬(さが とうま)っていうのは雅が片想いしてる人。隣の1年C組で、体育だけ2クラス合同なの!だから雅は体育がある時はスッゴイテンション高い…。
それはもう、コンサート会場で歓声をあげるぐらいにね。

早足で女子更衣室に行き、素早く着替える私たち。