「次、木役!」

よしきた!手をあげて、あたしは叫ぶ。

「「「はぁーい」」」

えっ!?
声が重なる。

「木って地味じゃん。なんでこんないっぱい候補いんの?」

手を挙げた内の一人、佐原海荷(サハラ ウミカ)が言う。

その通りだ。あたしは人がいなくてオーディションなしですぐ決めれて楽なやつに立候補してんの。

なのになんでいっぱいいんの?木なんて立つだけ。しんどいししょーもないのに。

「そうだよ!なんでこんなに…」

「えぇ、オーディションあるの?」

ざわざわ。

「めんどくさっ。」

「うち、魔女にいこうかな」

ざわざわ。

「坂木!?嘘でしょ、めんどくさいよー、魔女」

みんな騒ぎだす。

「どーする?萌夏…、」

「やる」

「え?」

「オーディションして、木役やる!」

「え……うんっ、わかった!」

「手、あげよ!」

あたしたちは、はりきって手をあげる。