数分が経った頃、ガラッと病室のドアが開けられた方を見ると そこには担当医の鏡御 薫風(カガミ カオル)先生がいた。



そして 彼の隣には、看護師の望月 柚葉(モチヅキ ユズハ)先生ともう一人 知らない茶髪の若い人がいた。




「僕は 爽波 涼夜(サワナミ リョウヤ)です、よろしくね!」


...と、名前の通りの爽やかな笑顔で言った。




そこら辺の乙女達を射抜くのは間違えないだろうけど、私は 正直に言って 興味無いし
仲良くなりたくもないけど、無視をすれば 鏡御先生は怒るだろうから 頷くことだけはした。





「聴診するから、服を捲って」



鏡御先生の指示に従って、服を捲ると
体温よりも少し冷たい聴診器が 私の体に当てられたので 順序良く 呼吸を繰り返し


聴診器が離れ、 瞼を下げられたり
喉を触りながら 唇を観たりと検診は進められた。




それも終わり、鏡御先生は体温計を差し出した





「これ 測っといて、俺は次の患者のところに行かないといけないから」




私に告げ、頷いた後 彼は部屋を出ていった
...気付いていないとでも思っているのだろうか?




鏡御先生は、私から逃げていることに




彼が 忙しいのは事実だけど
何時もなら 最後まで居るし、聴診や手の動きも全てが 何時もより早かった。



...くだらない、と言い
受け取った体温計を投げたくなった



子供だからって 舐めている大人(おまえ)達に




もう面倒くさくなり、適当に測って
爽波に 渡した彼も、何処かへ行った。




再び 私はイヤホンから流れてくる曲と
大好きな読書を楽しんだ