用事からロッカーに帰ると、ガチャっと音がして扉が二回開いて閉じた。さっきの口の上手いやつがやってきた。隣の女子ロッカーにも人の気配がして、

「誰もいないわぁ」

とミュウの声がした。

「こっちは鉛筆削りの人がいたよ」

と笑う声が後ろでして、僕は恥ずかしくてうつむいた。

そして着替えを済まし、トイレに行って鏡を見て気持ちを変えて、それで学部棟の玄関を出た。