自分がどんな顔をしているかわかった上で、その思考ができるんだから、よほどの鈍感だ。
いや、鈍感というより馬鹿だ。
女子高生たちは商品を手にすると、びくびくする寺島さんのレジへ一直線に向かい、お会計を済ませると、黄色い声をあげて去っていった。
「やっぱり僕、嫌われてるのかもしれない」
「どうでもいいけど勤務中です」
「小原さん真面目だ…」
「普通です」
ここのコンビニには4台もの監視カメラが設置されている。
さぼっているところなんて映っていたら、時給を下げられ兼ねないっていうのにこの男は。
かれこれ半年くらい寺島さんとここでバイトをしているが、長所が外見だけしか思い当たらない。
なのに、どうしてあたしは。
「こ、こここ、小原さん、小原さんっ」
「………なんですか」
「きた!」
「はい?」
突然慌て出し、情けない声をあげる。
だが、コンビニのドアが開くと、先ほどのヘタレが嘘のように凛々しい顔立ちをしてすっと立っている。
入ってきたのは、清楚という言葉がぴったりの美女だった。
嫌な予感しかしない。