―――――何時間、眠っただろうか。
瞼を上げると、散々見慣れた病室だった。
ただ一つ違うのは、ベッドで静かに寝息を立てているリコの顔に包帯もガーゼもなかった。
何度も見た寝顔を眺めていると、リコが小さく声を漏らし、睫毛を揺らす。
「………起きた?」
「ん…、カケル…?」
リコは額を押さえて上半身を起こした。
周りを見渡して、ここがどこかを確認しているらしい。
「病室だよ。突然倒れて、救急車呼んだ。まだ頭痛い?」
「………病室…、なんで倒れたの?」
「なんでっていわれても…、俺もわからないけど、多分俺が余計なこといったから、記憶障害か何かで脳がパンクしたのかも」
あくまでも推測だけど、そう付け足すと、リコは目を丸くして首を傾げる。
「記憶障害って、なに?」
「………え」
「今日何日?」
「11月24日だけど、もしかして、覚えてない?」
「………11月?9月じゃなくて?」
「9月?」
9月はリコが交通事故に遭った月。
まさか。
「リコ、転んだこと…覚えてる?あの、俺の家の近くの店で、ネックレスの」
「んー…、ああ、あれ!もう、あんなことまだ覚えてたの?」
やっぱりだ。
俺の瞳に映っているのは、前のリコだ。

