今と昔のキミ分岐点。






リコの外傷は大袈裟な包帯のわりに軽かったらしく、後頭部を強打したことが退院を遅らせた原因だったみたいだ。

親友の顔と名前も徐々に思い出せてきて、週一で通院することを条件に、無事リコは白い部屋から抜け出せた。


俺のことはほんの片隅しか記憶にないらしいけど、それでも良かった。



「カケル!ケーキ買ってこ!」



そうはしゃいで俺の手を引くリコに、どんどん惹かれていってしまったから。


外見は勿論今も前も変わらないけれど、中身は別人のようだった。

癖や仕草はまるっきり同じだけど、少し遠慮がちだったリコとは違って、彼女は言いたいことははっきりと言う主義らしい。

そんなリコを、いつの間にか好きになってしまっていた。


先日プロポーズもしたくらいだ。


そのとき、リコは「今のあたしでもいいのか」と悩んでいたみたいだが、俺にとっては十分だった。

浮気をしている気分にもなったが、相手はリコに変わりない。


お互い左手の薬指の輪っかを光らせながら、ガラスケース越しにある並んだケーキを真剣に選ぶ。



「俺チーズケーキ」


「あたしガトーショコラ!」



ケーキが入った袋を手に持って、俺の家へ向かって歩き出す。