春はすぐそこ。


「なんだか雨が降りそうですねぇ。」

迷子センターの人が話している

ヨシカズ君はついに膝の上で寝てしまった

足が痺れる…

そんな時だった

「よしかずぅ!どこよぉ!!」

女の人の大きな声

呂律が回っていないような声だ

「ちょっとー、困りますよ!起きて!!」

「黙ってなさいよ!」

センターの職員の人に当たり散らしている

「は?なんであんたがヨシカズのこと抱いてんのよ?」

「迷子で泣いてたんです。」

「迷子ぉ?勝手にこいつがいなくなったんだよ!」

なんだろう、この人は母親なのだろうか

「あなたがヨシカズ君の手を引いて歩いていればこんなことになってませんよね。」

「は?クソガキが生意気なこと言ってんじゃねぇよ?」

手が伸びてきて浴衣を引っ張られる

「ちょっと!やめなさい!」

周りの職員が止めに入る