零度の華 Ⅱ


『いつも俺を信じてくれるのはお前だけだ。そんなお前が好きだ』


「ゼ、ゼロ、様?」



あたしはニコッと笑うも菖蒲(アイリス)には見えない



『木時光‐キトギ ヒカリ‐』


「えっ...ウッ!」




あたし達の会話を傍観していた4人の表情は見なくても分かる

当然、驚いているだろう



腕の中に隠し持っていた小刀で、抱きしめる菖蒲(アイリス)の背後から一刺ししたのだから





あたしは菖蒲(アイリス)の顔を見る


苦しそうで今にでも倒れそうな体




「ゼ...ロ.......サマ...」




必死にあたしの名を呼び、何故?という目であたしを見る



『俺はここで死ぬだろ。死んだ時、誰もいないと怖いんだ。光が俺を待っててくれないか?』




優しく微笑みかけ、菖蒲(アイリス)の唇とあたしの唇を重ねる








数十秒

唇を離すと菖蒲(アイリス)は動かなくなった