零度の華 Ⅱ





「正義のヒーローみたいな登場だな」


『俺には程遠い言葉だ』




ボスの部屋なのに雲雀だけではなく各部のリーダー達が並んでいた


そして、4人の目に留まるのはあたしではなく菖蒲(アイリス)だった




「てめぇ、菖蒲(アイリス)!裏切りやがったな!」


「私は元から零(ゼロ)様に付いて行くと決めていた」






声を荒げる鯱(オーカ)に対して冷静に振る舞う菖蒲(アイリス)


ボスへの忠誠心が高い鯱(オーカ)と零(ゼロ)への忠誠心が高い菖蒲(アイリス)


この2人が啀み合うのは必然的だった



忠誠心が高いが故に





あたしは菖蒲(アイリス)を抱きしめた




「え、え!?ゼ、零(ゼロ)様」






突然の事で(ども)りだす菖蒲(アイリス)にあたしは構わない


あたしの腕の中に収まる菖蒲(アイリス)の耳元で囁く