零度の華 Ⅱ


『おかえり』



笑顔で出迎えるとあからさまに顔をしかめて「ただいま」と返す


帰って来て早々あたしに向ける顔がそれかよ




随分と警戒しているんだな




『土産、買って来たから持ってきた』


「ありがとう。仕事は終わらせたのか?」


『勿論だ。じゃなきゃ帰ってこない』


「そうか」




顔を歪めた雲雀に鎌をかけてみた





『早すぎだって顔してんな。あたしがいたら何か問題なことでもあるのか?もしかして、あたしを殺す計画を立ててたりしてな』




冗談っぽく巫山戯(ふざけ)て言ってみると眉間に皺が寄る



「なんでお前を殺さなければならない。殺したいほど憎んでもルールに反する。んなことしねぇよ」


言葉と心が裏腹ってのがバレバレだ




あたしが何故このことに知っているのか、計画より早いあたしの帰国に焦りが感じられる



『冗談だっての。真に受けんな。らしくない』




あたしは少し眉を寄せると、さっきの会話はなかったことのように過ごす