零度の華 Ⅱ





『言っておくが時間を稼いで逆探知を狙っているようだが無駄だぞ』


「チッ。分かっていたのか。そうみたいだな」


『フッ。じゃあ、またな』



電話を切り、携帯電話をテーブルの上にそっと置いた

そして、ソファーに背中を預けるように力を抜いてダランと無気力に座る

ひとまず、これで警察の動きを聞き出せる



「わざわざ会いに行くのですね。電話でもいいのに」


『電話だと判断が上手くいかないことがある。それに、単純にあたしがアイツに会いたいだけ』


「牢屋が恋しくなりましたか?今からでもすぐに牢屋へと戻れますよ。次は外に出ることはないのでよかったですね」



悪戯をする子供のような笑顔を見せて、あたしの反応を待っている亜紀はあたしと同じように人の表情の変化を見て楽しんでいる


あたしによく似たものだな

でも、同じようなことをするあたしが、そう簡単に表情を変えるわけがないだろ